月別アーカイブ: 2017年5月

米国最高裁が、国際消尽説の判決

現地時間5月30日に米国最高裁は、インプレッション・プロダクト(Impression Products) と レックスマーク(Lexmark)とのインクカートリッジの詰め替えに関する特許侵害に関して判決を出しました。その判断は特許権者であるレックスマークの敗訴になりました。 いろいろなニュースサイトが取り上げていますが、bloombergの記事を引用します。 https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-05-30/u-s-supreme-court-curbs-patent-holders-power-to-block-resale 記事によりますと、米国最高裁は、特に条件を付けない国際消尽説を採用したようです。 国内消尽説とは、国内においていったん適法に流通された特許製品を譲渡等により取得した者が、その後国内において当該製品を使用・譲渡等する行為については、当該特許権の効力は及ばないとする説です。外国で適法に流通された特許製品を、国内で当該製品を使用・譲渡等する行為にも特許権の効力が及ばないとする説が国際消尽説です。 平成9年7月1日の日本最高裁判決では、条件が付けば国際消尽説を採用しないという判決を出しました。 米国最高裁が条件を付けない国際消尽説を採用したとなると、HP、キヤノン及びエプソン等のプリンターメーカーは、詰め替えインクの企業に特許権を行使できなくなるため、特許戦略又は販売戦略を考えなくてはならないでしょう。 詰め替えインクだけでなく、いったん適法に流通された自動車部品や医療器材を再利用した商品の販売が容易になると思われます。

富士フイルムとソニーとがITCで争う

2016年6月29日のブログで、米国際貿易委員会(ITC)が、富士フイルムの磁気データ記録装置の特許を侵害している可能性があるとして、ソニーを調査することを取り上げました。 今年の5月26日の時事通信は、逆に、ソニーの磁気データ記録装置の特許を富士フイルムが侵害しているとのことで、ITCが富士フイルムを調査すると報じています。 http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052601410&g=eco 昨年6月のブログでも述べましたが、日本企業同士がなぜITCで互いに訴え合う必要があるのでしょうか。互いが製造している磁気データ記録装置は、日本国内で製造していなくて台湾等の海外製なのでしょうか。米国の市場が一番大きいから米国で争う利益があるのでしょうか。 日本企業を代表する企業同士が、日本の裁判制度を活用しないで、海外の裁判所を使って訴訟するメリットは、何があるのでしょう。

日米欧中韓の5極における「悪意の商標出願」の事例集

5月22日に特許庁は、第三者により有名なブランドなどの商標が無断で商標出願・登録される、いわゆる「悪意の商標出願」に関する日米欧中韓の事例集(各国10事例、合計50事例)を発表しました。 http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170522001/20170522001.html 日本の事例では、スポーツブランド「PUMA」の「P」を「K」に変えてクマのシルエットと組み合わせた「KUMA」が載っています。韓国の事例では、高級時計のブランド「ROLEX(ロレックス)」と1文字違いの「POLEX(ポレックス)」が挙げられています。米国では、スイスの時計ブランド「SWATCH」の「S」を「I」に変えた「IWATCH」が載っています。 「IWATCH」は、アップル(Apple)社が出願ではなく、M.Z. Berger & Co.という会社の商標登録出願です。結局M.Z. Berger & Co.は「IWATCH」を使用しなかったため、不使用で取り消されています。 日本でアップル社の「IWATCH」の商標登録出願があったので、米国でもアップル社が「IWATCH」を商標登録していると思い込んでいたので、悪意の商標出願の事例は、アップル社ではありません。

NokiaとAppleとは蜜月時代を迎えるのか

2017年1月10日のブログでは、ノキア(Nokia)がアップル(Apple)を特許侵害で訴え、一方、アップルはノキアが特許の一部をライセンス合意から外し、ロイヤリティー(特許使用料)を高くする目的でサードパーティーに移管したことを訴えた記事を取り上げました。その記事では、「ノキアはパテントトロールになった」との専門家の意見が載っていました。 5月23日のロイタージャパンは、アップルとノキアとが特許紛争で和解したことを伝えています。 https://jp.reuters.com/article/nokia-apple-patents-idJPKBN18J1BH 驚いたことは、いわゆる特許のライセンスの締結だけでなく、ノキアとアップルとがデジタルヘルス分野での共同研究を進めるという内容です。 互いに訴訟していたにもかかわらず、共同研究することまで踏み込めるのでしょうか?

米国特許訴訟の裁判管轄のルールが見直される

3月24日付のブログで、米国特許訴訟の裁判管轄(Venue)が見直されるかも?というタイトルで、米国最高裁が裁判管轄に関してヒヤリングしていることを取り上げました。このヒヤリング結果が現地時間5月22日にでました。 米国最高裁は、フォーラム・ショッピング(forum shopping、原告が自分に有利な判決がされる見込みのある地域の裁判所に訴訟を提起する訴訟戦術)を認めない判決を出しました。 多くのメディアがこの最高裁判決をニュースとして取り上げていますが、Bloomberg のURLを載せます。 https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-05-22/u-s-supreme-court-puts-new-curbs-on-locations-of-patent-suits 最高裁判決により、基本的に、被告の会社のある裁判所に訴えることが義務付けられることになります。 日本企業が訴えられる場合には、米国内に会社が無いこともあり、パテント・トロールがテキサス州東地区裁判所で訴訟を提起するかもしれません。しかし、米国内に米国子会社がある日本企業は、その子会社のある裁判管轄で訴えなければならないことになるのではないでしょうか? パテント・トロールにテキサス州東地区裁判所で訴えられる心配が少なくなりますね。