月別アーカイブ: 2017年4月

「標準必須特許」のライセンス料を、特許庁が裁定

4月27日付日本経済新聞は、「標準必須特許」のライセンス料を、特許庁が裁定できる仕組みを入れる法改正を検討していると報じています。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H39_W7A420C1PP8000/ 記事によりますと、ライセンス料は、基本的にライセンサーとライセンシーとの交渉になりますが、中小企業やベンチャー企業は交渉力に乏しいため、ライセンス料の決定で不利になることもあるので、国が適切な料金を決めるADR制度(標準必須特許裁定)を取り入れて公正なライセンス料を決める制度を創設するらしいです。 中小企業やベンチャー企業にも代理人(弁理士など)が加われば、公正な交渉できると思いますが、このような標準必須特許裁定という制度があることで、この標準必須特許のライセンス交渉を公正に進めることができるようにバックアップの狙いもあるのでしょう。 特許法第83条から第85条には、不実施の場合の通常実施権の設定の裁定についての規定があります。不実施の特許があってその特許を使いたいライセンシーがライセンサーとの協議がうまくいかないときに、特許庁長官が通常実施権の裁定ができる制度です。 この不実施の場合の裁定制度は、規定の制定以来、一度も使われたことがないと思いますが、最終的には裁定制度があることで、ライセンサーとライセンシーとの自助努力を促しているといわれています。 新たに制定される標準必須特許裁定も、実際に使われることはないかもしれないが、この制度があるから自助努力で標準必須特許のライセンス料を考えなさいよ、と促すことになるのでしょう。

再び、ASMLからニコンは損害賠償を得ることができるか

現地時間4月24日付ロイターは、「露光技術に関して、ニコンはASML及びカールツァイスに対して特許訴訟を提起」の記事を取り上げています。ニコンはASML等をオランダ、ドイツ及び日本で特許訴訟を提起したようです。 http://www.reuters.com/article/us-nikon-asml-idUSKBN17Q0NM 記事によりますと、ASMLは半導体露光装置で9割のシェアを持っているようです。露光技術に関しては、2001年にもニコンがASMLを特許侵害で訴えて、2004年に和解で決着し、ニコンが約160億円(USD135M)の和解金を受け取った経緯があります。 ASMLのCEOのコメントですと、「AMSKは何度もニコンとのクロスライセンス契約の延長を交渉してきた。」とあります。 また両社は、米国で調停人(退官した裁判官)の下で交渉協議を行ってきたようですが、合意に至らなかったということです。 このような事実から、ニコンは、クロスライセンスで受け取るライセンス料(売上及び特許件数に基づいてバランスを欠いたライセンス料)に同意できなかったと思われます。

GLM社は和製フェラーリとして成功できるか

京都大学発の電気自動車(EV)ベンチャー企業のGLM株式会社が4月19日に、コンセプトカーを発表しました。 http://glm.jp/jp/products/ http://glm-g4.com/category/news/ GLMのホームページでは、EVスーパーカー「GLM G4」だけでなく、EV「トミーカイラZZ」をすでに1台800万円で販売しているのですね。売れているのでしょうか。 GLMが大きく正常するためには特許が必要です。テスラモーターズも米国で300件以上の特許出願をしています。 GLMもどんな特許をもっているか調べてみました。特許5077972が1件ありました。発明のタイトルは、「自動車用メインフレームおよびそれを用いた自動車」となっています。 この特許の価値評価はどれぐらいであるかわかりませんが、GLMは特別なプラットフォーム戦略をもっており、この特許が中核をなすようです。GLMの自動車は、走るための「プラットフォーム」とボディを独立させ、車からボディだけ完全に分離させています。 つまり、ボディを被せていないプラットフォームを他社に販売し、そこに他社がオリジナルでデザインしたボディを被せることで、全く新しいデザインの自動車を簡単に発売することが可能になります。 さて、GLMのプラットフォーム戦略が1件の特許だけでは心許ないですね。周辺技術を固めないと、他社が似たようなプラットフォーム戦略を投入してくる可能性があります。 GLMの自動車は高すぎて私には買えませんが、GLMには夢を乗せて駆け抜けてほしいですね。

“経済スパイ天国、日本”の汚名はなくなるか

4月18日の日本経済新聞の1面と3面には、変圧器などに使われる“方向性電磁鋼板”に関する新日鉄住金と元従業員側との営業秘密漏洩の訴訟が和解に至ったことを報じています。 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15427080Y7A410C1MM8000/ ポスコ(POSCO)とは300億円で和解済みですが、元従業員約10人の和解金も多く、1億円を超す解決金を支払った者がいるようです。 刑事罰が適用される前の営業秘密漏洩であったため、民事の損害賠償責任のみ追及していたようです。 元従業員の10人分で10億円弱とポスコの300億円とを合わせて約310億円ですが、新日鉄住金が営業秘密の漏洩で失った損失は、これをどれだけ上回っているのでしょうか。 現行法の刑事罰では、法人には最大十億円の罰金刑が課されることがあり(不正競争法第22条)、個人には最大5千万円(併科した場合)が課されることがあります(同法第21条)。 営業秘密を洩らした個人にかかる損害賠償や刑事罰が高額になってくると、営業秘密漏洩の抑止力になると思われます。 新日鉄住金では、社長すら立ち入れない区域を設けて、営業秘密の対象技術を厳重に管理していたようです。一方、中小企業では、まだまだ営業秘密の管理が十分でないところが多々あるのではないでしょうか。 損害賠償や刑事罰が高額になるだけでなく、中小企業等も営業秘密管理もしっかりとやっていかないと、“経済スパイ天国、日本”の汚名を払拭できないでしょう。

米国特許を売りたい人は、ウーバーにご連絡を!

現地時間4月24日から5月23日までに、ウーバー(Uber)に、米国特許を売ることができます。ウーバーは“UP3”というプロジェクトを立ち上げて、積極的に特許を購入するようです。 https://www.uber.com/legal/intellectual-property/patent-purchase-program/en/ 特許を売りたいと連絡すれば、ウーバーが7月7日までに特許を評価して、ウーバーが購入したいと判断した特許に関しては、8月22日までの契約を終えるということです。 上記URLには、特許購入契約書、米国特許庁に特許譲渡を届け出る書類まで入っています。 ざっと目を通しましたが、いくらで購入するのかについては記載されていません。たぶんウーバーが特許を評価して、その評価額を提示するのでしょう。なお、ウーバーは購入価格についてのネゴシエーションしないようです。 購入価格は適切に評価したから、その価格で契約しましょうというスタンスのようです。 個人的には、短期間で特許の購入価格をどのように決めるかのプロセスを知りたいですね。