月別アーカイブ: 2017年3月

特許庁ステータスレポート2017

3月30日に特許庁から「特許庁ステータスレポート2017」が発表されました。 http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170330002/20170330002.html 特許出願件数は、318,381件であり、2006年から続いている減少はまだ続いています。 意匠登録出願に関しては、総出願件数は横ばいですが、2015年から始まった国際意匠登録出願件数が大幅に伸びていることがわかります。今後、国際意匠登録出願が伸びていくのか、単に2015年は国際意匠登録が始まったばかりだからかもしれません。来年には傾向がわかるのではないでしょうか。 国際商標登録出願件数は横ばいですが、商標登録出願は大きく伸びています。音または色等の新しいタイプ商標が2015年から2016年までに1446件の出願です。商標登録件数がほぼ横ばいであること登録までに半年もかからないことを考えると、拒絶査定又は却下処分になる件数が多いのかなとも読み取れます。 審判関係では、特許の判定請求の件数が昨年の3倍以上になっており、どんな理由で増えたのかを知りたいです。 2015年から再スタートした特許異議申し立ては2016年も大きく伸びています。この影響もあるのか、特許無効審判の件数が減っています。

液体金属とはすごい技術なのでしょう

現地時間3月28日のPatently Appleの記事で、部品等に使われる改良モールドの特許をApple(アップル)が取得したことを報じています。特許番号は米国特許9,604,279号です。 http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2017/03/apple-granted-a-liquid-metal-patent-covering-improved-molds-for-creating-parts-or-device-casings.html アップルは、完成品だけでなく部品などの特許も多く取得していますが、liquid metal(液体金属)というあまり耳にしたい用語があったので、どんな技術だろうと思って別の記事も読みました。 この特許出願時の2013年に、この液体金属を発明したLiquidmetal Techonologies(リキッドメタルテクノロジー)と独占ライセンス契約をしています。その後2015年にもその独占ライセンス契約を延長しています。 Apple(アップル)は、名もないBaili(佰利)という会社からAppleのiPhoneが意匠権(デザイン特許)侵害として、昨年5月に北京知的財産権裁判所からiPhone販売禁止命令を受けていました。 リキッドメタルテクノロジーのHPを見ますと、いわゆるモールドで細かい部分まで成型できるとともに、モールド表面が鏡面だと磨かなくても部品表面も鏡面仕上げのようになるそうです。 http://liquidmetal.com/ アップルの特許より、リキッドメタルテクノロジーの技術に興味を持ってしまいました。 

中国でのiPhone販売禁止命令が取消に

Apple(アップル)は、名もないBaili(佰利)という会社からAppleのiPhoneが意匠権(デザイン特許)侵害として、昨年5月に北京知的財産権裁判所からiPhone販売禁止命令を受けていました。 本日3月27日、ITPRO等の報道機関が、その命令が北京高級人民法院で取り消しになったことを報じています。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/032700932/?rt=nocnt 中国専利法下では、デザイン特許(日本でいう意匠権)、無審査で登録になります。そして、2014年末にできた知的財産権を専門に扱う北京知的財産権裁判所の出した命令が、今回高級人民法院で取り消されたこととなります。 Baili(佰利)のデザイン特許は、以下になります。 北京知的財産権裁判所が判断したように、iPhone6と上記意匠と似ていないわけではないと個人的には思います。ITPROの記事にあるように、iPhone6のリーク画像で意匠権を取得したのでしょうか? いずれにしても、北京高級人民法院の判断に対して基本的に上訴できないので、Appleは一安心です。 

米国特許訴訟の裁判管轄が根本的に見直されるかも

3月1日のブログでは、パテント・トロールが、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)及びWal-Mart(ウォルマート)を訴えた特許事件が、Eastern District of Texas(テキサス州東地区)裁判所からNorthern District of California(カリフォルニア州北地区)裁判所に移送されることをお伝えしました。 現地時間3月23日のYahoo financeは、“米国最高裁が特許システムを基本的に変更するかもしれない”の記事を載せています。 http://finance.yahoo.com/news/tc-heartland-v-kraft-foods-125940843.html よく言われていますように、テキサス州東地区裁判所は、極端なプロ・パテント傾向(特許権者側に優位)に固執しています。そのため、特許権者は特許訴訟を提起する裁判管轄(Venue)としてテキサス州東地区裁判所を選んでいます。 このようなフォーラム・ショッピング(forum shopping、原告が自分に有利な判決がされる見込みのある地域の裁判所に訴訟を提起する訴訟戦術)に関して、米国最高裁は3月27日にヒヤリングをするようです。 現状のように、極端にテキサス州東地区裁判所に特許訴訟が集中するのはおかしいと思いますが、最終的にはどのような形で裁判管轄が決められるようになるでしょうか?

ドルビーデジタル「AC-3」の特許権がすべて失効

ドルビー(Dolby)社は、サラウンド音声を圧縮するための音声符号化技術や2chの映画音声をマルチチャンネルサラウンドに変換したりするポストプロセッシング技術などを多くのメーカーにライセンシングしています。音響機器には、ドルビーのロゴがよくついていますね。 現地時間3月20日の下記URLの記事によりますと、音声符号化技術のドルビーデジタル「AC-3」の関連特許権すべてが権利失効したようです。 https://ac3freedomday.org/ 証券取引委員会(SEC)に、米国ドルビー社が提出している書類では2017年にすべての特許権が失効すると記載してあるようです。またこのURLに掲載されているすべての必須特許(米国特許)は権利満了になっているようです。日本など米国以外の特許では、パリ条約等の関連であと1年ぐらい権利存続している特許もあるかもしれません。 記事では、「Evergreening(エバーグリーニング)」が取り上げられています。ドルビー社だけでなく、製薬会社の特許権の存続期間の実質的延長を図る手法としても知られていますが、個々の企業同士がライセンスする際にも同様な戦略がよくとられます。 このようなライセンス等の場合に、意外に重要なのが意匠権や商標権です。特に商標権は権利が半永久的(すなわちエバーグリーン)に続くので、特許権だけでなく商標権も合わせてライセンスすることも多くあります。 AC-3の特許が失効したことで、いくつかの音響製品が安くなるかもしれません。