月別アーカイブ: 2015年7月

ヤマザキマザック社の営業秘密の控訴審

日本経済新聞の記事によりますと、ヤマザキマザック社の営業秘密が流出した事件の控訴審でも、被告は有罪となりました。 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO89921030Q5A730C1CC1000/ 一審名古屋地裁では、2014年8月「取得した情報は営業秘密として重要性が高いものだった」との判断を示し、被告に懲役2年、執行猶予4年、罰金50万円の判決が言い渡されました。 一審判決によると、被告は同社営業担当だった平成23年8月、社内サーバーにアクセスし、工作機械部品の設計図や製法に関する情報計6件をハードディスクに複製し、不正に取得したとのことです。 不正競争防止法において、営業秘密が保護されるには、(1) 秘密管理性、(2)有用性、(3)非公知性が必要です。 この事件では、(2)有用性が争点となっているとのことです。 一般には、(1) 秘密管理性が良く問われ、アクセスしやすい状況だと秘密に管理していないとして、営業秘密として認められない事件が多いです。 弁護側も、(2)有用性ぐらいでしか争うことができないのでしょうか?

ファンドマネージャはIPRの請求適格があるか?

現地時間7月29日付けのロイターは、製薬企業Celgene CorpがヘッジファンドマネージャーKyle Bass氏に制裁を与えるよう米国特許庁に申請したことを記事にしています。 http://www.reuters.com/article/2015/07/29/celgene-lawsuit-hedgefund-idUSL1N10923X20150729 4月9日のブログでも、The Wall Street Journalに、「特許無効化と空売り 著名ヘッジファンドの新戦略」の記事を取り上げました。その4月9日のブログでも取り上げましたように、ヘッジファンドは製薬企業の株価の暴落による利益を得るために、空売りとともに当事者系レビュー(IPR)を申し立てるということです。 今回、製薬企業CelgeneがKyle Bass氏に制裁を与えるように請求したのは、16件の当事者系レビュー(IPR)のうち5件がCelgeneの特許だからだそうです。 さて当事者レビュー(IPR)は、請求人適格の規定があります。関連する法律・規則は以下の通りです。 https://www.law.cornell.edu/uscode/text/35/312 https://www.law.cornell.edu/cfr/text/37/42.101 匿名での請求ができず、全ての実際の利害関係当事者を特定することが必要である(312 条(a)(2))。 また以下の者は請求が認められない(規則 42.101)。 (c) 申立人、申立人の利害関係のある実際の当事者、または申立人の利害関係人が、請求において特定される理由について当該クレームを争うことに関し禁反言が成立している場合。 Kyle Bass氏は、無用な特許を無くして薬価を下げる利害関係があると主張しているようです。 製薬企業Celgeneがヘッジファンドマネージャに制裁を与えるよう米国特許庁に出した申請は認められるのでしょうか? 請求人適格の法律・規則のうち、311条(a) 及び規則 42.101)。(a)項(b)項は、明らかにヘッジファンドが該当しないため省略。

ノネンド(nonend)vs シャープ

日本経済新聞の記事によりますと、シャープがオランダに本拠を置く特許管理会社ノネンド(nonend)・インベンションズから特許侵害で訴えられているそうです。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL28HBQ_Y5A720C1000000/ シャープは、経営再建中で7月27日から希望退職の募集を始めたばかりのなかで、このような特許訴訟は、本当に泣きっ面にハチですね。 ノネンドという会社は、下記URLのホームページの内容からすると、研究しておらず特許管理だけをしている会社のようです。 http://nonend.com/home/ ノネンド・インベンションズは現在、Apple(アップル)に対しても、ストリーミング技術の4件の特許で訴えています。 http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2015/04/nonend-inventions-who-first-sued-spotify-is-nnonendow-gunning-for-apple-in-a-new-lawsuit-over-streaming-content.html 日本経済新聞の記事では、シャープは「訴状がまだ届いておらず、今後提訴の内容を確認する」と答えています。 Appleと同じストリーミング技術の4件の特許で、ノネンド・インベンションズはシャープを訴えていることがわかります。 判官びいきではないですが、シャープには頑張って反論してもらいたいです。

もう備忘録はいらない

WIREDニュースの記事によりますと、見えている光景を動画で撮影し後で検索できるようにするgoogleの発明が、7月21日に特許になったそうです。米国特許9,087,058になります。 http://www.wired.com/2015/07/google-make-glasses-take-searchable-video/ 発明のタイトルは“Method and apparatus for enabling a searchable history of real-world user experiences(現実世界のユーザーの経験履歴をサーチすることができる装置及び方法)です。 毎日の行動をビデオ撮影し、その中で自分がもう一度確認したい出来事をサーチできるようにする発明です。 記事では、“警備員や空港の所持品検査官に使用されることを想定している。例えば、「午後1時から3時の間に目撃された全員の顔」を見直すといった例である。”と記載されています。 特許明細書でもこの発明は“例えば警備員や空港の所持品検査官が使用する”と記載されています。 でも、請求項1に記載の内容には“複数のユーザーが撮影した場所を人気の場所とする”と言った要件が書かれており、もっと狭い発明になっています。 さて次期Google Glassがこの発明を使えば、備忘録代わりに使えることは間違いないです。

フォトセンサを湾曲させた小型化カメラ

iPhoneManiaの7月25日付ニュースで、2mm厚の高画質カメラの発明が取り上げられています。 http://iphone-mania.jp/news-78439/ スマートフォン等は高画質でありながらもより薄くすることが求められていることから、この米国特許公開20140253677も、その要求に沿った発明でしょう。 なお、この記事では「2014年9月11日に”申請“されていました。」とありますが、正確には“公開”であり、申請は2013年3月5日です。 さて請求項1に記載の発明の内容は、フォトセンサが凹んだ形状になっており、レンズ系の有効焦点距離Fは、光センサの曲率半径の20%以内であることです。 レンズに、ザイデルの5収差と呼ばれる収差があり、そのうちの一つに像面湾曲という収差があります。この収差を打ち消すために、最適なレンズの形状及び屈折率を計算して求めています。 フォトセンサが凹んだ形状であれば、像面湾曲の収差を打ち消す必要がありません。そのためカメラの厚さを薄くできるのではないかと思います。 しかし、似たアイデアは昔からあるので、請求の範囲を狭くしないと権利化が難しいのではないかと思います。 その一方で、実際に凹んだ形状のフォトセンサを使ったカメラは無いと思います。コスト等から割に合わないと思います。 でもアップルだったら製品化するのではないかと期待してしまいます。