月別アーカイブ: 2014年12月

職務発明に対するパブリックコメント

職務発明は、今年の特許法改正の話題を提供した事案です。現行の職務発明では従業員に帰属させていた特許を受ける権利を使用者(法人)に帰属させるようにする改正について、私も何度もブログで取り上げました。 12月25日に、職務発明に対するパブリックコメント(意見募集)が、発表されました。来年1月15日までが募集期間です。職務発明だけを取り上げていませんので、タイトルは“我が国のイノベーション促進及び国際的な制度調和のための知的財産制度の見直しに向けて”に対するパブリックコメントです。 http://www.jpo.go.jp/iken/tokkyo_houkoku_141225.htm さて、職務発明の箇所を読んでみますと、基本的に、従業員に帰属させていた特許を受ける権利を使用者に帰属する方向ですが、特許を受ける権利の従業者帰属を希望する法人についてはこれまで通りでもよいとする方向の改正予定になっています。 職務発明規定を有する中小企業は、これまで通りで行くか、それとも職務発明規定をコストをかけて改正するか、どちらを選択するか悩ましいですね。 私の実務を鑑みますと、特許法条約(Patent Law Treaty、PLT)の改正によって、優先権の回復の制度ができる等の改正に興味を持ちました。

Uber(ウーバー)の特許戦略

Uber(ウーバー)は、ハイヤーの配車から決済までをスマートフォンだけで完結できるアプリです。世界各地にUber広がっているようです。特に欧州ではタクシー業界が脅かされているのでUberのビジネスに制限をかけるようにタクシー業界が抗議ストなどをしています。 日本でもUberが使えるようですが、私は一度も使ったことがありません。 さてUberは、スマホのGPSを使って、アプリが表示する地図にハイヤーを呼び出す位置を入力すると、車の現在位置や到着までの所要時間、目的地までの概算料金といった情報も表示してくれるそうです。 また、支払いは事前に登録したクレジットカードから引き落とされる仕組みです。料金は運転手が決めるので、日時や繁忙期で変わるそうです。 運転手はUberに“顧客仲介料”として乗車料金の何%かを支払います。これがUberのビジネスモデルです。 前置きの説明が長くなりましたが、現地時間12月23日のロイターに、Uber(ウーバー)が特許を取得するために四苦八苦しているとの記事がありました。 http://www.reuters.com/article/2014/12/23/uber-ip-breakingviews-idUSL1N0U71AH20141223 自分のビジネスを競合会社からの攻撃から守るために、知的財産権で防備することは一般的です。Uberも16件の特許出願をしているそうですが、抽象的なアイデアにすぎないとか進歩性がないという拒絶理由を受けてなかなか特許が取れていないようです。 16件のうちの1件は、上述した“ハイヤー料金が日時や繁忙期で変わる”特許出願だそうです。ホテルや航空機料金等では当たり前ですが、確かにタクシーでは夜間料金ぐらいしかありませんね。 でも、その特許公開公報を読んだわけではありませんが、正直言って、“ハイヤー料金が日時や繁忙期で変わる”特許出願が特許になるとは私は思えません。 しかし、競合会社のLyft(リフト)等が台頭してくる中、知的財産権で防備する戦略が一番適切な手段ではないでしょうか。

Rockstarの4000件以上の特許をRPXに売却

2014年11月25日のブログで、Rockstar Consortium(ロックスター コンソーシアム)とGoogleとの訴訟が和解に至ったことを取り上げました。 現地時間12月23日のロイターの記事によりますと、Rockstarの4000以上の特許をRPXに9億ドルで売却することになったそうです。 http://www.reuters.com/article/2014/12/23/rpx-rockstar-ip-idUSL1N0U70YQ20141223 Rockstar Consortiumは、破産したカナダの通信機器メーカーNortelが保有する約6000件の特許45億ドルで落札していました。その後Rockstar Consortiumは、それら特許を使って訴訟を繰り返していたため、パテント・トロールと揶揄されていました。 すでに有用な2000件の特許は、Rockstar Consortiumのメンバー(Microsoft、Apple、Ericsson、Sony等)に分配されているそうで、今回4000件の特許をRPX社に売却するとNortelから購入した特許資産がなくなることになり、Rockstar Consortiumは存在しなくなる方向のようです。 2000件の有用特許がRockstar Consortiumのメンバーに配分されているといっても、45億ドルで購入した特許が9億ドルで売られることになると、メンバーは損失がでているのではないでしょうか。でも、メンバーのMicrosoftとEricssonは、業界にとって良い方向に進んでいるとのコメントを出しています。 今回購入する側のRPXは、「防衛的特許アグリゲーター」として特許をライセンス提供することで利益を得ている判の高い会社です。 来年は、パテント・トロールが鳴りを潜める年になりそうです。

ゆるキャラの商標権と著作権

12月22日の日本経済新聞に、「ゆるキャラ巡るトラブル続発」という記事がありました。熊本県のくまモン等の大成功で、いろいろな“ゆるキャラ”が生まれてきていますが、その一方で著作権及び商標権のトラブルも同様に生まれています。 ちなみに“ゆるキャラ”も登録商標なので、“ゆるキャラ”を販促に使用した場合には商標権侵害になります。 私自身も代理人として、私企業(クライアント)の“キャラクタ”の商標登録などを手続しています。一般に、広告代理店がクライアントから“キャラクタ”の相談を受け、デザイナーに“キャラクタ”のデザイン作成を依頼し、デザインと名前とが決まったら商標登録出願するという流れになっていると思います。 私に商標登録出願の依頼がある場合は、すでにクライアントとデザイナーとの著作権契約が締結されている場合が多いです。そして、商標登録出願をクライアント側で手続して良い契約になっているか確認させていただく際に、著作権の譲渡契約又は著作権ライセンス契約の内容を拝見させていただきます。 しかし、契約内容としてが不十分と思われることが多くあります。 今朝の日本経済新聞の記事でも指摘されていましたが、著作人格権の扱いが何も書かれていないと、将来キャラクタのデザインを変更した場合にどう対処するの?と疑問を投げかけることも多いです。デザイナーとの契約の段階から、専門家にお任せした方が良いなと感じます。

欧州特許でも、ヒト胚の使用に関する発明の特許性を認める方針

欧州では、欧州特許庁(EPO)拡大審判部が、2008年11月27日の審決(G2/06)により、ヒト胚の破壊を伴う胚性幹細胞(ES細胞)に係る発明(請求の範囲は、ヒト胚を破壊していません)の特許出願を拒絶する決定を下してから、ヒト胚の破壊を伴うES細胞の特許を認めていません。 また、ヒト胚を認めないルールの定義に関しても、欧州連合司法裁判所は,2011年10月18日に、いかなる非受精の人間の卵子もヒト胚」を構成すること、また「ヒト胚の産業又は商業的目的の使用」に科学的研究を目的とした使用が含まれること等を判示(C-34/10)しています。 すなわち、欧州では、ヒト胚に関する特許を全く認めていませんでした。このため、一部のバイオ関連企業又は人材が、米国などに流れたと言われていました。 現地時間12月18日のロイターの記事によると、欧州連合司法裁判所は、18日に非受精の人間の卵子を使った特許を認める方針を示したそうです。  http://www.reuters.com/article/2014/12/18/health-stemcells-europe-idUSL6N0U21DD20141218 私はバイオに精通していませんが、記事によりますと、非受精の卵子を使って、目、神経細胞又は肝臓等の治療に役立てることができるそうです。 ヒト胚に関しては倫理的な問題を含むため安易な発言はできませんが、この判決を機会に、欧州でもさらにバイオ技術が進展してくれればよいと思います。