月別アーカイブ: 2014年2月

独占禁止法と特許(2)

2013年10月19日のブログで”独占禁止法と特許”を取り上げました。 そのブログでは、サムスン電子が、必須標準特許(SEP)を、FRAND(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory:公正、合理的、かつ非差別的)な条件でアップルにライセンスしませんでした。 この行為に対して、米国では特許訴訟の結果に対して大統領が拒否権を発動し、欧州では独占禁止法違反と判断されました。 日本では、日本の平成23(ワ)38969号(東京地裁平成25年02月28日判決)で、権利の濫用に当たると判断されました。平成23(ワ)38969号に関しては、控訴審である知財高裁大合議第8号事件で、最初の日本版アミカスブリーフの提出案件になっています。 さて、アップルは2012年4月にサムスン電子が必須標準特許(SEP)をライセンスしなかったことに対して、韓国の公正取引委員会に申告していたようです。そして、その審決が2月26日にあったとの記事がありました。 http://japanese.joins.com/article/317/182317.html?servcode=300&sectcode=300 韓国の公正取引委員会は、アップルが特許使用許諾を受けるために交渉に誠実に臨んだと見なしがたいと判断したようです。 大合議第8号事件の審理にも、影響を与えるのでしょうか?

弁護士費用負担についての米国最高裁の判断

米国特許法285条には、特許訴訟においては「裁判所は,例外的ケース“exceptional case”においては 勝訴当事者に支払われる合理的な弁護士費用を裁定することができる。」と規定されています。 また、2013年12月6日のブログで記載しましたように、12月5日(日本時間6日)に、パテント・トロール対策法(The Innovation Act(そのまま訳すとイノベーション法) The bill, H.R. 3309)が米国下院を通過しています。この法案では、米国特許法285条を改正し、原告側が勝訴する合理的な理由がない場合は、裁判所は弁護士費用等を含む全ての費用の負担を原告に負担させるようにしています。 The Innovation Act The bill, H.R. 3309は、米国上院で審理中でまだ法案になっていません。この状況下、米国最高裁は、米国特許法285条に規定する“例外的ケースexceptional case”とは何かのヒアリングを行いました。下記URLを参照。 http://www.bloomberg.com/news/2014-02-26/patent-legal-fees-weighed-in-high-court-case-watched-by-apple.html 米国最高裁は、以下の2つのケースを通じて、“exceptional case”の判断基準を出すものと思われます。 Highmark Inc. v. Allcare Management Systems, Inc. Octane Fitness v. Icon Health and Fitness The Innovation Act The bill, H.R. 3309の法案にも影響を及ぼすと思います。

キャンディークラッシュのキングが、「candy」の商標を放棄

娘はよくスマホのゲームで遊んでいます。ゲームで遊ばない私でも、スマホ向けパズルアプリ「キャンディークラッシュ」(「Candy Crush Saga」)は大変有名なので、名前だけは知っています。パズルアプリ「キャンディークラッシュ」は英国のKing.com社の製品です。 さて英国のKing.com社が、今年1月15日に「candy」の商標登録を取得しました。この商標権は、ゲームアプリはもちろん、衣料品、エンターテイメントなど幅広い範囲について登録されていました。「candy」の文字列を使用する既存アプリなどが商標権侵害に当たるおそれがあります。 でも、下記URLの現地時間2月25日の記事によると、英国のKing.com社は、この「candy」の登録商標を放棄したようです。せっかく商標登録したのに、1ヶ月足らずでその登録商標を放棄することは通常ありえない行為です。 http://www.ubergizmo.com/2014/02/king-pulls-back-candy-trademark-attempt/ 別のニュース記事(下記URL)によると、英国のKing.com社は、「candy」の文字列を使用する既存アプリの会社に、「candy」を削除するように警告状を送っていたようです。 http://www.ubergizmo.com/2014/01/candy-crush-saga-developer-thinks-it-owns-the-word-candy/ 法的には、「candy」の商標を取っていなかった既存アプリの会社が、不利益を被ってもしかたないです。しかし、英国のKing.com社の上記警告行為に対してユーザーなどからの批判が多かったので、英国のKing.com社は登録商標を放棄したのかもしれません。もちろん、他の放棄理由があるのかもしれません。

ハーグ協定ジュネーブ改正協定・ロカルノ協定の概要と加入の是非

特許出願に関しては、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願があり、商標登録出願に関しては、マドリッド協定議定書による国際出願があります。これらの条約・協定に日本は加盟しています。 一方、現時点で意匠登録出願に関しては、日本は国際的な出願制度に加盟していません。従って、簡便な一つの手続によって複数の国への意匠登録出願を可能にすることにより意匠権を取得することができません。 そこで、日本政府は、ハーグ協定ジュネーブ改正協定(出願手続を一元化)・ロカルノ協定(国際意匠分類)の加入を検討しています。 http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/toushintou/design_chizai.htm 資料を読んで認識しましたが、複数意匠一括出願制度、関連意匠制度、部分意匠、図面の提出要件緩和など、現在の意匠法とハーグ協定ジュネーブ改正協定との一致しない制度が多いですね。 意匠法の改正などを考えなければならないと思いますが、大変な作業になりそうですね。

アップルとサムスン電子、調停うまく行かず

カリフォルニア州サンノゼ連邦地裁は、昨年11月21日に、サムスン電子がアップルの携帯端末の特許を侵害したとの評決が出た裁判で、約9億3千万ドル(約930億円)の賠償額を決定していました。 その後、サンノゼ連邦地裁の勧めで、アップルとサムスン電子とは、今年2月19日までに開かれる調停で、和解を探ることに合意していました。詳細は下記ロイターの記事に載っています。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0803L20140109 しかし、本日のウォール・ストリートのニュースによると、和解に至らなかったようです。米国、欧州及び日本などで特許訴訟が繰り広げられていますが、各地の訴訟も引き続き継続することになりそうです。 http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304775004579399661265560436.html ウォール・ストリートのニュースにもありますように、スマートフォンの新機種も特許訴訟の対象になるようですので、賠償額の約9億3千万ドルがさらに増えていく可能性があります。