月別アーカイブ: 2014年1月

STAP細胞の作製に成功した小保方晴子先生の国際公開特許  

STAP細胞の作製に成功したとの1月29日の報道以来、小保方晴子先生のニュースがニュース紙面を賑わしています。iPS細の作製でノーベル賞省を受賞した山中伸弥教授も、論文発表までに特許出願していましたが、小保方晴子先生も発明者としてSTAP細胞の作製の特許出願しています。国際公開公報WO2013163296が公開されています。 国際公開公報に掲載された図1と図4とを以下に載せます。 明細書では、細胞に、機械的な刺激、化学的な暴露、超音波刺激などの環境ストレスを与えて、STAP細胞を作製することが記載してあります。ニュースでは、細胞に弱酸性の刺激を与えると報道されていましたが、明細書には、pH5.4~pH5.8の液体に1時間ほど浸した実験例などが開示されています。 クレイム(請求項)1は、1行だけの大変権利が広いクレイムです。 1. A method to generate a pluripotent cell, comprising subjecting a cell to a stress. 和訳 ”細胞にストレスを与えて、多能性細胞を作製する方法” このような広い権利の特許が取得できるか否かはおいておき、是非、小保方晴子先生に日本女性で初めてのノーベル賞を取ってもらいたいものです。

オバマ大統領 パテントトロール対策へ法整備訴え

オバマ米大統領は1月28日の一般教書演説で、最低賃金の引き上げ等を訴えるとともに、特許侵害訴訟の乱用を抑制するための対策法案を迅速に成立させるよう議会に訴えました。 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0L31JA20140129 記事にもありますが、有力な2案のうち、グッドラッテ議員Goodlatteの1案は、昨年12月6日のブログで述べたように、すでに下院で通過しています。 グッドラッテ議員Goodlatte Innovation Act (H.R. 3309)の法案は、下記の議会のホームページで詳細を確認することができます。この法案の特徴は、原告は、被告の被疑製品がなぜ侵害しているかを明記することを要求するとともに、特許権利者を明確にすることが求められています。 http://beta.congress.gov/bill/113th/house-bill/3309 もう1案のパトリック・レーヒー委員長(上院)Patent Transparency and Improvement Act (S. 1720)の法案は、下記の議会のホームページで詳細を確認することができます。この法案の特徴は、特許権者の透明性を求めており、特許権者が明確にならなければ、被告が訴訟までにかかったディスカバリー等の費用を、原告が負担することになる等を規定しています。 http://beta.congress.gov/bill/113th/senate-bill/1720 今後、上記の2案を軸に、修正されて法案が成立すると思います。早く成立するといいですね。

ITCでの審理で和解

特許・商標権者は、米国国際貿易委員会(US International Trade Commission, ITC)に、輸入者の特許権・商標権の侵害品が米国内へ輸入されることを差し止めるように申し立てすることができます(米国関税法337条)。日本でも、特許・商標権者は、日本税関に、輸入者の特許権・商標権の侵害品が米国内へ輸入されることを差し止めるように申し立てすることができます(日本関税法69条の13)。私自身も日本税関の専門委員として何度も審理に加わっています。 特許権者・商標権者が、裁判所ではなくITC又は日本税関で、被疑侵害品の輸入差止を申請するのは、①審理が早い、②輸入品を一網打尽にできるメリットがあるからだと言われています。なお、ITCは裁判官による審理であり、陪審員による審理はありません。 さて、下記URLは、ITCの2013年6月20日のプレスリリースです。Graphics Properties Holdings, Incが、パナソニック、東芝、台湾AmTran、及び中興通訊(ZTE)等に輸入差止を申請した事件の概要が載っています。ちなみにGraphics Properties Holdings, Incは、かつて三次元グラフィックで一世を風靡したSilicon Graphics (SGI)の特許資産を使って活動する会社です。現在のSGI(http://www.sgi.com/)との関連会社のようですが、実態はよくわかりません。 http://www.usitc.gov/press_room/news_release/2013/er0620ll1.htm この輸入差止申請では、これらの会社のコンピュータ、タブレット、TV等が、米国特許 6,650,327, 特許8,144,158 又は特許5,717,881を侵害していると主張しています。 ビジネスモデル特許等で訴えるパテントトロールとは異なり、Graphics Properties Holdings, Incの申立ては、ハードウエア等の特許が多いことが特徴です。 現地時間1月28日の下記記事では、Graphics Properties Holdings, Incとパナソニックとがライセンス契約を結んで和解し、パナソニックがITCの審理から降りたそうです。上記3つの特許権の侵害か否かではなく、Graphics Properties Holdingsの特許ポートフォリオをライセンスで活用した方が得策等と考えたのかもしれません。 tp://www.law360.com/ip/articles/504902/panasonic-ducks-itc-patent-probe-after-licensing-deal

特許(知的財産)ファンド(2)

昨年8月29日に、特許ファンドについてのブログを書きました。そのブログでは、”特許ファンド=パテントトロール”の固定概念を持っていましたが、Intellectual Ventures(インテレクチュアルベンチャーズ、IV)の発明育成ファンド(IDF)の下記URLの記事を読んで、考えが変わったと記載しました。 http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/130826/cpd1308260501002-n1.htm しかし、1月27日の下記URLの記事では、Intellectual Ventures(IV)は、パテントトロールになってしまっていると記載されています。IVがGoogle傘下のMotorola Mobilityを訴えて陪審員裁判をしているそうです。 http://japan.cnet.com/news/business/35043041/ 発明育成ファンド(知財インキュベーション型ファンド)は、大学やベンチャー等の特許出願費用に投資を行い、特許や開発案件の売却及び将来のライセンス収入から資金を回収します。しかし、発明育成は資金回収まで時間がかかりますので、IVは、手っ取り早く資金回収するために、パテントトロールに変わってしまったのでしょうか。

サムスンとグーグルとが特許クロスライセンス

アップルは、特許・意匠権侵害でグーグル又はサムスンを攻撃しています。そんな状況の中、グーグルとサムスンとが、現地時間1月26日にグローバルな特許クロスライセンスを締結したとのロイターの記事がありました。すでに特許になっている権利だけでなく、今後10年間で出願される特許出願もカバーする特許クロスライセンスのようです。無料のクロスライセンスか又は一方が他方にいくらかの金額を支払うクロスライセンスかは、開示されていません。ちなみに、特許クロスライセンスとは、互いの特許を相互に実施できるようにしたライセンス契約です。 http://www.reuters.com/article/2014/01/26/google-samsung-patents-idUSL2N0L00DC20140126 確かに、これまでグーグルとサムスンとが、互いに特許訴訟などで争っていませんから特許のクロスライセンスを結ぶ下地はあったと思います。でも、現在所有する特許だけでなく、今後10年内に出願する特許出願も含むクロスライセンスは、非常に広範囲なクロスライセンスです。 グーグルとサムスンは、この特許クロスライセンスで、現在・将来のプロジェクトで開発研究をより密に協同することができると言っています。また両者は不要な特許紛争を減らしイノベーションに注力できるとしています。 今後10年間に出願される特許出願もライセンス契約に入っていますので、この特許クロスライセンスを契機に、グーグルとサムスンは、多くのイノベーションを組み込んだ各自の製品又は共同開発の製品を出してくるのでしょうか。