月別アーカイブ: 2013年9月

ボストン大学の特許訴訟

7月5日のブログで、ボストン大学がアップル等を特許権侵害で提訴した記事を取り上げました。本日9月30日の日本経済新聞で、ボストン大学がキヤノン、ソニー等を特許侵害で訴えた記事が掲載されました。7月の訴訟では、Apple, Amazon, Hewlett-Packard, Samsung, と 韓国LGが訴えられました。調べてみますと、9月20日に、キヤノン、NEC、富士フィルム、ニコンなどの日本企業、Acer, HTCなどの台湾企業、lenovo などの中国企業、及びMicrosoftなどの米国企業が訴えられています。破産したKodakや再建中のBlackBerryも含まれています。以下のURLで検索すると、44社が訴えられているようです。 http://dockets.justia.com/ 7月の訴訟も9月の訴訟も同じ米国特許(U.S. Patent No. 5,686,738)を使って訴訟しています。 この’738特許は、高絶縁性の単結晶窒化ガリウム薄膜が使われている基板を用いた半導体素子の発明です。この’738特許は、クレイム21を有していますが、すべて半導体素子の発明です。ちなみに’738特許の図1(下の図)は、ECRプラズマMBE法を説明しており、’738特許には、パソコン、タブレット、カメラ等はで登場していません。 訴えられた上記企業は、この半導体を使ったパソコン、タブレット、カメラ等を製造しているために、訴えられていると思われます。 7月4日のブログでも述べましたが、通常、半導体素子などを提供するメーカーは、その半導体を使う製品メーカ(キヤノン等)に対して、特許権侵害等が発生したらメーカーで責任を持つとの特許保証契約等を結んでいることが多いのです。どの会社か高絶縁性の単結晶窒化ガリウム薄膜を使った半導体素子を製造しているか知りませんが、その会社でないと、特許非侵害などの反論は困難ではないでしょうか。

クリックホイール特許

東京の個人発明家が、アップル社からて携帯型音楽プレーヤー「iPod」の入力インタフェース「クリックホイール」で東京地裁で勝訴するという記事が9月26日に流れました。日本の特許訴訟は和解で終わることが多いのですが、個人発明家で3億円強の損害賠償額です。でも個人発明家は、賠償額が少ないということで控訴予定とのことです 訴訟で使われた特許は、分割出願された特許3852854号です。その特許の図21に「iPod」の「クリックホイール」に似た図面があります。原出願が「iPod」の販売前で、分割出願が「iPod」の販売後です。分割出願であるこの特許は、「クリックホイール」を狙い打ちにした発明のようです。ちなみに原出願は特許になっていません。特許3852854は、アップル社から無効審判されましたが、特許請求の範囲を訂正して、無効にされませんでした。 出願時には、対象製品がまだ世の中に登場していなかったが、その後対象製品が登場することによって、分割出願などして、その対象製品を狙い撃ちにするように、特許発明を変更することはよくあります。名古屋のベンチャー企業が、2画面特許(折り畳みの携帯電話で、表と裏とに画面がある)でNTTドコモを訴えたことがありました。この特許も、分割出願した特許で、2画面の携帯電話を狙い撃ちにした特許発明にしていました。この事件ではNTTドコモが勝訴しています(東京地裁判決 平成15(ワ)28554)。

補強・補修方法をライセンス化

一般的に土木業界は、特許出願件数が少なく知的財産に関する意識は低い業界と言われています。そんな中、中小企業の朝日エンヂニヤリング(正社員数12名)が、橋の補強・補修方法をライセンス化している記事を見つけました。この記事は、特許庁の広報誌「とっきょ」で見つけました。 http://www.jpo.go.jp/torikumi/hiroba/kohoshi_tokkyo.htm イージースラブ橋工法及びイージーラーメン橋工法などで特許及び商標を取得しており、橋の補強・補修方法をライセンス化しているというのです。まさに知的財産の活用で成功している中小企業です。 公共工事では未知の工法では入札できません。新工法が特許をとっていても、その工法を認証を受けている必要があります。イージースラブ橋工法及びイージーラーメン橋工法は、国土交通省によって運営されているNETIS(ネティス:新技術情報提供システム)に登録しているようです。 私の知っている土木工事会社でも特許を使った工法をライセンス受けています。特殊な工事だと、その工法を使える会社が少ないため入札で落札できる率が高いそうです。そんな土木工事会社は、ライセンスを与える側に立ちたいと考えています。

自治体の中小企業支援

自治体の中小企業支援は、助成金だけではないのですね。 9月22日の日本経済新聞で、「休眠特許で中小企業を元気に」というタイトルのの社説がありました。記事では、川崎市産業振興財団の「知的財産コーディネータ」の職員が大手企業と中小企業の双方を訪問して、大手企業が外部への開放を考えている休眠特許を聞き、使用権の契約で中小企業に助言するということです。札幌市、堺市などでも同様な取り組みをされているそうです。 どのような経験でどれぐらいの人数の方が、「知的財産コーディネータ」をされているか知りませんが、社説では、これまでに15件のライセンス契約を成立させているとありましたので、大変な実績です。 大手企業は、例えば10億円の売上規模が見込めないと事業化しない等のケースは多々あります。そのような案件でも、事業化を検討する前に研究開発して特許を取得していることもあります。それが大企業では休眠特許になっています。そのような休眠特許を自治体が中小企業の産業振興としてお手伝いして実績を出していることに驚きました。実際どんな特許が収益を生むタネになるか、、「知的財産コーディネータ」は目利きの力が求められます。実績があるということは、相当な目利きの「知的財産コーディネータ」がいらっしゃるということです。

「ほこ×たて」

9月22日のフジテレビ番組「ほこ×たて」で「ドリル連合軍VS最強金属(日本タングステン)」を見ました。これまで何度も見ていますが、中小企業連合の技術の強さを感じ番組でした。 日本タングステンは、番組対決用に硬い金属を作っていて量産品ではないので、これら金属の特許は無いだろうと思いましたが調査しました。 日本タングステンの公開特許は300以上ありましたが、番組に出ていた中川内さんと松原さんが発明者となる特許出願はありませんでした。もちろん、企業にとって特許出願が企業競争に勝つための手段ではありません。でもこの番組で日本タングステンの名前は本当に有名になったと思います。 また今回のイワタツールを筆頭とした中小企業連合も、日本の中小企業の技術の素晴らしさを視聴者に見せることができた。これまで大手ドリルメーカが7敗していたので、中小企業の技術を軽視していた会社から、新たな仕事を得ることができるのではないでしょうか。ちなみに、今回の番組で使われたドリルとは違いますが、イワタツールは特許出願しており、特開2012-035359が公開されています。