月別アーカイブ: 2013年4月

任天堂の登録商標”わらわら広場”にモンテローザが異議申立て

4月29日に、任天堂Wii Uの登録商標”「わらわら広場」”に対して”笑笑”を運営するモンテローザが異議申立てのニュースがありました。居酒屋さんの店名商標(登録商標)と-ゲームソフトの商標(登録商標)とは、基本的に商品・役務が類似しませんので、双方の商標が登録されます。しかし、「他人の業務に係る商品、又は役務と混同が生ずるおそれがある商標」は登録できないという規定があります(商標法4条1項15号)。この規定でモンテローザは任天堂の登録商標”わらわら広場”を争うものと思われます。 モンテローザが運営する居酒屋にはよく行きますが、仕事でのお付き合いはありません。しかし、モンテローザは、知的財産に関しては経験豊富な会社だと思います。 これまで、モンテローザ(「月の宴」を経営)は、居酒屋チェーン「月の雫」を経営する三光マーケティングフーズと不正競争防止法で争いました。また、モンテローザ(「魚民」を経営)は、居酒屋チェーン「和民」を経営するワタミフードサービスと争いました。このような経験を鑑みますと、モンテローザは、知的財産に関して高い意識を持っていることが伺えます。 一方の任天堂は、米国で特許訴訟を何度も経験している会社です。どちらも知的財産の経験豊富な会社。どちらが勝つのでしょうか?

世界知的所有権の日(World Intellectual Property Day)

今日4月26日は、世界知的所有権の日 (World Intellectual Property Day) です。世界知的所有権機関 (WIPO) が知的財産が日常生活で果たす役割についての理解を深め、発明者や芸術家の社会の発展への貢献を記念するために2000年に制定した記念日です。 日本では、4月18日の「発明の日」があることもあり、「世界知的所有権の日」は弁理士もほとんど知りません。 私が初めて、”世界知的所有権の日”を知ったのは、2004年4月26日にちょうど中国北京市に出張しているときです。中国では”世界知的所有権の日”を大々的にキャンペーンをしており、中国人民革命軍事博物館で開かれていた展示会に行ってきました。知的財産権のシンポジウム、税関で取り締まった模倣品や出願件数の増加を示すパネルなどが展示されていました。海賊版のCD又はDVDをロードローラで踏み潰すなどのパフォーマンスも行なっていました。

デジタル握手(ハンドシェイク)?

米国アップルの1つの特許公報が2013年4月23日に発行されました。特許番号8,429,407です。発明の名称は、”デバイス間のデジタル握手”です。 2つの電子デバイス間のセキュアな通信を確保しデバイス間の情報を共有するために、2つの電子デバイスを”デジタル握手”させるということです。どのように”デジタル握手”をさせるかというと、実際に互いの電子デバイスを撮影して、その電子デバイスの外観の特徴を記憶させて、相手が特定できたら、セキュアな通信を確保しデバイス間の情報を共有するという発明です。 直接、相手の電子デバイスを撮影するのですから、ネット上ではなくオフ会などで実際に知り合わなくてはなりません。家族間、親しい友人間又は恋人間で使われることを想定しているのでしょうか? 特許公報には、iPhoneと同様な外観が描かれています。 iPhone 5s又はiPhone 6に搭載されるのでしょうか? 特許番号8,429,407号公報

オーソライズド・ジェネリック医薬品

4月23日のニュースで、聞き慣れない単語がありました”オーソライズド(公認)・ジェネリック医薬品”です。医薬品の特許が存続期間満了で切れると、誰もが同じ成分の医薬品を製造できます。そのような医薬品をジェネリック医薬品(又は後発医薬品)と言います。5年10年前は特許が切れるとゾロゾロ医薬品が出てくるため、”ゾロ医薬”とも呼ばれていましたが、医療費抑制の観点から日本政府がジェネリック医薬品を推し進めているため、最近は”ゾロ医薬”という言葉も死語になりつつあります。 さて、”オーソライズド・ジェネリック医薬品”とは、特許を有する医薬品メーカ(子会社、ライセンス会社も含む)が、特許切れる前から自ら特許品と同成分のジェネリック医薬品を製造・販売する医薬品です。 特許権が切れる直前時期に、先行してジェネリック医薬品を1社のみが販売するため、業界内でそのオーソライズド・ジェネリック医薬品の認知度が高まります。そして、特許権が切れた後に、多くの医薬品メーカからゾロゾロとジェネリック医薬品が出てきても、認知度が高いオーソライズド・ジェネリック医薬品が、売れ行きが良いという仕組みです。 蛇足になりますが、日本ではジェネリック医薬品メーカは、富山県など北陸地方に多いです。昔から富山の薬売りなどで有名であったからだと聞いています。世界ではインドに大手ジェネリック医薬品メーカが集中しています。インド特許法は、2005年改正まで医薬品特許を認めていませんでした。したがって、インドの医薬品メーカは、先進国の特許医薬品を、インド国内で自由に製造・販売することができました。このような背景が、現在の大手ジェネリック医薬品メーカを生んでいます。

ITC (International Trade Commission / 米国国際貿易委員会)

4月22日のニュースで、モトローラ・モビリティーが米アップルを携帯電話センサーの特許権侵害で、米国際貿易委員会(ITC)が、モトローラの特許が有効ではないとの仮決定を支持する最終判断を下したとの記事がありました。米アップルとサムスンもITCで特許権侵害で争っています。ITCは毎日のようにニュースに登場しています。 ITCとは、行政判事室から選ばれた判事が仮決定を行い、輸入品が特許権侵害するならば、委員会が追認する形で米国への輸入を差し止めます。損害賠償は審理されませんが、輸入差止という強力な判断を下すため、米国連邦地裁に提起する特許権侵害訴訟と平行して行われることが多いです。 日本でも、税関の3名の専門委員が意見書を提出し、税関長が多数意見を追認する形で日本への輸入を差し止めます。同様に損害賠償は審理されません。輸入差止という強力な判断を下すため、東京地裁等に提起する特許権侵害訴訟と平行して行われることが多い点も一致します。 ITCも日本税関も同じようですが、ITCは判事が審理し、日本税関は専門委員が審理する点で大きく異なります。専門委員は、弁理士、弁護士及び大学教授の専門委員候補から選ばれますが、民間人であって、裁判官ではありません。私自身も専門委員候補の一名です。事件があり専門委員に選ばれた際には、両当事者に公平な意見を述べるように努めています。