欧州と日本のコンピュータ関連発明 その1

コンピュータ関連発明(”computer-implemented inventions” (CII))について特許出願業務をしていると、欧州の特許性に関して違いを感じることが多々あります。
日本のコンピュータ関連発明出願を基準に考えてしまいがちですが、日本で特許にできても欧州で特許にできないことも多いので、まとめていきたいと思います。

コンピュータ関連発明では、新セクション(F-IV, 3.9)が追加されています。その3.9.1 Cases where all method steps can be fully implemented by generic data processing meansを簡単にまとめます。
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/html/guidelines/e/f_iv_3_9_1.htm

3.9.1のタイトルを直訳しますと、「一般的なデータ処理手段によって、全ての方法ステップが完全に実施できる場合」という意味です。これは、いわゆるパソコン・スマートフォン等の一般的なデータ処理手段ですべての方法ステップが完結する発明です。意訳しますと「コンピュータのみで、全ての方法ステップが完全に実施できる場合」となります。3.9.2は機会があれば説明しますが、センサーやアクチュエータを伴う方法ステップを説明しています。

さて、この3.9.1セクションは、コンピュータ関連発明において、典型的に受入れ可能なクレイム構成を成文化するものです。以下のようなクレイムの記載が欧州では認められていることになります。日本特許出願の請求項(クレイム)の記載の実務と差異はありません。

<クレイム1:方法> 
 コンピュータにより実行される方法であって、ステップA、B、...を含む。
<クレイム2:装置/デバイス/システム>
 クレイム1の方法を実行する手段を備えるデータ処理装置/デバイス/システム。
 ステップAを実行するための手段、ステップBを実行するための手段、...を含むデータ処理装置
<クレイム3:プログラム>
 コンピュータによる実行時、クレイム1の方法をコンピュータに実行させる指示を備えるコンピュータプログラム。
 プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータにステップA、B、...を実行させる命令を含むコンピュータプログラム
<クレイム4:コンピュータ読出可能媒体>
 コンピュータによる実行時、クレイム1の方法をコンピュータに実行させる指示を備えるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
 コンピュータによって実行されると、コンピュータにステップA、B、...を実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

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スマホで自動車の鍵の解錠やエンジンの起動

自動車の電子キーには、Aタイプ(ドアに近づくと自動で解錠、離れると自動で施錠されるタイプ)とBタイプ(ドアに近づき、ドアノブやドアのボタン、センサーに触れることで解錠・施錠するタイプ)とがあります。現時点ではBタイプの電子キーが主流のようですが、将来はスマートフォン(スマホ)に取って変わられるのでしょうか。
さて、PatentlyAppleのサイトに、8月16日に公開された米国公開特許2018―
0234797が掲載されていました。記事タイトルは、「自動車パッシブエントリーシステムをアップルが特許出願」というものです。

http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2018/08/apple-invents-an-enhanced-automotive-passive-entry-system-without-mentioning-autonomous-vehicles-once.html

単なるスマホアプリで自動車の鍵の解錠施錠をする発明ではなく、無線通信や近接場通信(NFC)を使って、エンジンの起動、冷暖房の起動等も行うようにする発明のようです。
この発明の背景には、たぶんCar Connectivity Consortium(CCC)の技術規格があると思われます。
CCCは車のキーの代わりにスマートフォンを使うルールやプロセスを標準化することを目指しているコンソーシアムです。世界の自走車メーカーのうち70パーセント程が参画しており、またアップルやパナソニック等の通信メーカーも参画しているようです。
カーシェアが普及している今、電子キーからスマホへの移行は、遠い話でないような気がします。

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クアルコム、台湾独禁当局と和解

米クワルコムは、いろいろな国から独占禁止法違反で提起されていました。また現在も韓国当局とEU当局とは未だ結論がでていません。通常は課徴金が課せられて、米クワルコムは課徴金を支払っているのではないかと思います。
さて、日本経済新聞の現地時間8月10日の記事で、“クアルコム、台湾独禁当局と和解 見返りに770億円”という記事がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34045120Q8A810C1EA6000/

台湾当局は、課徴金を1/9に減額し、その見返りとしてクアルコムは通信向け半導体の研究開発拠点の建設など台湾で7億ドルを投資するというものです。
こんな和解の仕方もあるのですね。どちらが、この案を提案したかわかりませんが、台湾経済もクワルコムもともにメリットがあるWin-Winの和解ではないでしょうか。
未だ争っている韓国当局やEU当局もこんな和解を狙ったらよいのではないでしょうか?

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オープン&クローズ戦略を考える

日本経済新聞では7月25日から、「やさしい経済学」のコラムで、筑波大学立本教授の“オープン&クローズ戦略を考える”が掲載されています。
「やさしい経済学」とは名ばかりで難しくて内容が理解できないことも多いのですが、今回は、知的財産関連の話であるので、難なく読めています。
さて、Wired Businessの現地時間7月31日の記事で、“オープン戦略を掲げているにもかかわらず、企業は人工知能(AI)テクノロジーの特許出願を増やしている”という記事がありました。
https://www.wired.com/story/despite-pledging-openness-companies-rush-to-patent-ai-tech/

記事では、Google(グーグル)と同様にFacebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)は、自分のエンジニアがオープンソースとして機械学習に使うソフトウェアをリリースしており、秘密主義のアップルを含むすべてが、AI研究者に最新のアイデアを公開して、これら企業が優れた教員や大学院生を募集できるよう支援している。それにもかかわらずAI技術とアプリケーションの所有権を主張するよう努力している、と記載されています。
 ニューラルネットワークに言及している機械学習技術である特許出願は、2010年の94件から2016年に485件に上昇しているそうです。

企業としては、オープン戦略をとっていても、AIの特許権を主張してくる会社がいた場合には対抗措置としてAI特許を有していないと戦えない場合もありますから、保険の意味も兼ねて特許出願しなくてはならないと思います。

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Apple Watchで日焼けを防ぐ

関東地方は本日やっと酷暑からの逃れれるようですが、関西以西はまだまだ酷暑が続くようですね。こんな天気が続く中、熱中症対策が一番ですが、日焼け対策も重要です。
「Apple Watchで日焼けを防ぐ」というTACHABLEの記事を見つけました。

腕時計をしている、腕時計の日焼けしていない跡が残りますが、その跡が無くなる発明かと思いきや、Apple Watchに日焼け検出器の追加機能を増やす発明が開示されたようです。
https://techable.jp/archives/80484

記事では7月19日に特許が登録されたと記載していますが、厳密には誤りで公開公報が発行されただけでした。
その米国公開公報2018/0202927号によりますと、紫外線と赤外線の検出器“UV-IR分光器”をモバイルデバイス(Apple Watchとは記載していない)に組み込み、“UV-IR分光器”から腕などの皮膚に紫外線/赤外線を照射して皮膚からの反射光を受信する。そして日焼けの危険にさらされている領域を画面に表示するというものです。

アップルには、今度は熱中症になる可能性を示すことができる発明を提案してほしいです。今年はすでに数万人が病院に搬送され、熱中症による死者が1000人を超えると危惧されているのですから。

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